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   ステンレスシンクの錆と洗剤の話 

 最近、お問い合わせやリクエストが多くなってきましたのでページを設定しました。その多くはTVCMでも多く見かけるようになった<排水口ヌメリ取り>を使用後、シンクの排水口付近にサビが発生したというものなのですが、そのことについて

 主に
    ・ステンレスとはどういうものか?
    ・ヌメリ取り洗剤とは?
    ・それぞれのメーカーがすべきことは
    ・ユーザーが知っておくこととは
、  について記載致します。

 * 人大シンクの場合でも周辺のステンレス小物などにはステンレス天板と同様に注意が必要です。*

   
◆ ステンレスとは
 大人の方なら大抵の方が知っているステンレス、しかし今と昔では状況が違っています。とりあえずステンレスについて基本的なことから記載します。なお多方面のサイトでステンレスの記事はありますのでここでは必要最小限の説明をします。

ステンレス;(Stainless steel)鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロム(Cr)を10.5%以上含むさびにくい合金と規定されていますが、種類は様々です。キッチンメーカーが従来、主に天板やシンクに使ってきたのが、クロムを18%したSUS430(18ステンレス)とさらにニッケルを8%加えたSUS304(18-8ステンレス)の二種類です。クロムが酸素と化合(酸化)することで極薄い酸化被膜が出来、その被膜が腐食から身を守ります。11%以上クロムを含んでいると耐食性ができますので、18%以上あれば十分な効果があります。
 
 特徴は以下のとおり・・
ステンレス
についての
参考サイト 

・ステンレス協会

・ステンレスの科学


●主なステンレスと特徴
SUS304(18-8)
オーステナイト系
耐食性に優れ、耐薬品にも強い。ステンレスの中では比較的柔らかくプレス成形がし易い、また溶接などの加工性に優れる磁性が無い、高価。
SUS430(18)
フェライト系
SUS304に劣るが十分な耐食性がある、材質が硬くキズ、熱に強く衛生面で優れ業務用厨房にも使われる。磁性がある摩耗に強く昔のテープレコーダーのフェライトヘッドもこれ。
YUS190(19-mo2)
フェライト系
SUSに加えモリブデン、チタンを含み、特に耐熱性にすぐれ、エコキュート、電気温水器などの缶体に使われる。磁性がある高価。
マルテンサイト系 耐食性は劣るが、焼き入れが可能で、刃物、工具に使われる。磁性がある
*磁性がある=磁石が付く

数万円もするステンレス包丁も磁石が付くのは材質の特徴なのです。


◆ ステンレスの『現在・過去・未来』について

 ステンレス市場の状況が大きく変わったのは、2006年頃からです。日本はステンレスの生産量は世界でトップでしたが近年において、アジア圏で工業化が急速に進歩し特にタイ、インド、などは数年で4倍~5倍の伸びがあります、そのあおりで日本ではステンレスの原料(特にニッケル)が確保しづらい状況になりました。他の素材でも、話題になった、いわゆる『レアメタル』『レアアース』問題は周知の通りですがステンレスでも同様です。中でもニッケルの価格が高騰し、ステンレスのコストも従来の倍になってしまうようになりました。

 当時のエネルギー庁も各産業界に対し国としての指針が出され、また製鉄メーカーでもそのような状況を打破すべく新しい製品の開発、製造に切り替えるなどの対策を行いました。そしてステンレスを扱う業界としてはそのような時代の変化に対応を余儀なくされる結果となりステンレス素材の見直しがされ、現在ではフェライト系のステンレスが標準的なステンレスとして採用されるようになっています。

 キッチン業界におきましては、プレス加工が困難だったフェライト系ステンレスも今日の金型技術の進歩によりオーステナイト系と同様にプレス成型ができるようになったことも後押しした結果になりました。さらに副産物として、キズが付き易いオーステナイト系に対し表面が硬いフェライト系は耐久性に富み、むしろお手入れがし易い天板、シンクと言える状況です。
 しかし、お手入れ方法や対薬品(洗剤)について市場の認知が低く、キッチンメーカーは継続的な説明をユーザーにはしなければならないと考えます。

ステンレスについて日経新聞記事
 日経新聞記事

●レアメタル
・ニッケル
・クロム 
・モリブデン
・リチウム
・チタン
 など

 これからのステンレスの用途はさらに変化していくと考えられます。従来のSUS304も無くなるわけではなく、主に薬品を使うような、研究室、病院、などのところには高価であっても使われることになりますが、一般的な製品には使用しなくなります(使う必要が無い)。

 キッチンの天板に関しては、人造大理石が増えていますが、シンク部分も人造大理石を使用した製品も珍しくなくなりました。人造大理石は価格的に高額でしたが出荷量の増加によるコストダウンとステンレスの価格の高騰によりユーザーの選択が容易になった為と言えますが、キッチンメーカーとしては近い将来を見据えた対応とも考えられます。何せ鉄鉱石自体が50年先には無くなるとデーターがでています(リサイクルしかなくなる)のですから、他の製品でも今後金属に変わる代替素材が多くなると思われます。親子の会話で『昔、ステンレス流し台があったのよ』なんていう時代が近いうちに来そうです。

 ちょうど今はその過渡期にありますので、従来のSUS304ステンレスになじんだユーザーがステンレスの品質に疑問を感じる場合もあります。磁石をくっつけてステンレスが悪いといったクレームに繋がりかねません、キッチンメーカーには責任が無いとは言え、疑問を持ったユーザーには、正しく説明をする必要があります。
ステンレスについて東洋新聞記事
東洋経済新聞記事


◆ キッチンメーカーのすべきこと
 磁石が付かないステンレスは良いステンレスでくっ付くステンレスは悪いステンレスといった間違った評価を世に広めてしまった責任は主にキッチンメーカーにあると思います。
 キッチンメーカーは昭和30年代にステンレス流し台を開発し、他の産業の製造メーカーよりも早くからステンレスを扱ってきた点では、どの企業よりもステンレスのことに精通しているはずです(今日でも)。そしてキッチンの販売をする際のセールストークの中でSUS304、とSUS430の違いを磁性だけで説明してきたことで誤解を与えてしまっています。
 その結果、ステンレスを地球規模で見直さなければならなくなった現時点で「アダ」となってしまっています。

 そこで、今、キッチンメーカーがすべきことは、
『なぜ当時SUS304(18-8)を使わないといけなかったのか』
『現在のステンレスに変わった理由はなぜか』
『これからステンレスの扱いに注意しないといけないことは何か』
の3点をユーザーに説明する責任があると考えます。 特に販売する上ではは欠かせない項目です。

 その答えはこのページを最後まで見て頂ければ自然に出てきます。
 


◆ ヌメリとは  (ライオン資料から)
  当社(ライオン)は、キッチンなどの水まわりで発生し、落としにくい“ヌメリ”の原因菌が「シュードモナス」であることをすでに確認しております(日本防菌防黴学会第33回年次大会にて発表)。
 この度、原因菌「シュードモナス」が産出する物質が“ヌメリ”を落ちにくくしていると考えられることから、“ヌメリ”を採取し、分析を行いました。その結果、「アルギン酸」が含まれることを確認しました。「アルギン酸」は海藻類に多く含まれる多糖であり、ヌルヌルとした粘質な物性を示すので、排水口の壁面に付着しやすく、さらに、汚水に含まれる食材カスや油汚れなどを絡めやすくなっていると推察されます。また、「アルギン酸」同士の接着因子であるカルシウムイオンを取り込んで強固なネットワークをつくりやすく、かつ水に溶けにくいので、簡単には崩壊しない汚れであることが確認されました。
 

 ヌメリを落としにくくしている主原因は、原因菌「シュードモナス」が産出する粘着物質「アルギン酸」であることから、「アルギン酸」を分解する技術開発に取り組みました。「アルギン酸」は“ヌメリ”の中でカルシウム塩として存在しています。カルシウムはアルギン酸同士の接着因子となってネットワークを形成し、様々な汚れを取り込んで、強固な落としにくい“ヌメリ”となっております。そこで、アルギン酸同士をつないでいるカルシウムイオンを取り除く効果がある成分のスクリーニングを行いました。
 その結果、「アルカリ金属炭酸塩」にカルシウムイオンとイオン交換して、ネットワークを崩壊させる効果があることを確認しました(2007年日本家政学会発表)。
日本家庭用
洗剤工業会HP




◆ 主力洗剤メーカー製品と使用説明書

花王 
除菌泡ハイター
Johnson 
漂泊ヌメリとり
Lion 
ヌメリ・カビ速攻バスター
 
キッチン泡ハイター 花王
塩素系
漂泊ヌメリとり jhonson
塩素系
ヌメリカビ即効バスター ライオン
塩素系
 
キッチン泡ハイター説明書 花王
説明書(メーカーサイトから) 
漂泊ヌメリとり説明書 jhonson
説明書(メーカーサイトから)
sokkoubasuta setsumei
注意書き(関連サイト)
 

その他のヌメリ取り製品について

吊り下げタイプ(錠剤) 排水口口金タイプ    

画像は1例です

画像は1例です
   
説明書き(クリックで拡大) 説明書き(クリックで拡大)    

各社製品の共通内容です
   
  上記タイプのご使用はお勧めできません
・常に微量の塩素ガスが発生しステンレスや他の金属の腐食(サビ)の原因になる場合が多く出ております。
・あまり見えない所にある為、うっかり塩素系漂白剤を使用すると有害な塩素ガスを発生させます。
大変危険です

液性が中性の場合は
特に問題は有りません
   

キッチン排水口ヌメリ取り 簡単まとめ
タイプ 成分 他 液性 使用の可否 備考
液体・泡タイプ 塩素系
次亜塩素酸ナトリウム
アルカリ性 使用方法・注意事項を厳守して異常があれば中止する
吊り下げ
錠剤 タイプ
ジクロイソシアルヌ酸塩
クロロイソシアルヌ酸塩
酸性
弱酸性
× 使用は避ける
口金固定タイプ 硫酸カルシウム
アロマレイン酸 他
中性 中性タイプを確認する
微生物
バイオ タイプ
酵母菌・乳酸菌・納豆菌  
天然素材 重曹(炭酸ナトリウム) 弱アルカリ性 クエン酸と水を加えると気泡発泡が増えます。下記参照
粉末タイプ 酸素系
過炭酸ナトリウム
弱アルカリ性 下記参照
アルミ箔 金属イオン 下記参照
上記内容は個人的な考えです。各キッチンメーカーの見解ではありません。



◆ 主力キッチンメーカーのヌメリとりへの見解 *表示は画像をクリックして下さい

タカラ クリナップ パナソニック LIXIL(サンウェーブ)
ヌメリ取り洗剤について タカラ ヌメリ取り洗剤の使用について クリナップ ヌメリ取り洗剤の使用について パナソニック ヌメリ取り洗剤の使用について lixil
ステンレスシンク内のシール タカラ
ステンレスシンク内表示
     




 当サイトの考え方について   
 まずはじめに、一つ疑問があります。それは『ヌメリ取り洗剤』が最近になって、なぜ急に人気が出たか、という点です。確かにTVCMで頻繁に流されているからということもありますが、売れないものを流している筈はありません。そこで理由を推測してみました。
 右の写真(上)は、最近のシンク内のゴミ収納カゴですが、非常に浅くなっています。近年人気のスライド(引き出し)扉タイプのキッチンはシンク下のスペースを確保するため、トラップを小さく(浅く)してあるのが特徴です。その為にゴミ収納カゴも従来より小さくなり、ヌメリが全体に広がりやすく、すぐに水が流れにくくなります。これを無くす為に使われだしたのだろうと思われます。
 それでは、流れやすくするために孔の大きさを大きくしたらいいではないか?⇒そうはいきません! ゴミ収納カゴの孔の大きさは2㎟以下、円形の場合は直径1.6mm以下と工業界で決められています。これは生活排水に関する条例(通称:びわこ条例)を守るために作られた基準です。違反すると罰則があります。

 つまり、キッチンの構造の変化を起因として、ヌメリ取り洗剤の人気が出て、それが原因でステンレスシンクをサビさせるというサイクルのように考えます。キッチンメーカーにはそこを改善する工夫が必要ではないかと思いますが・・。また洗剤メーカーにおいても表示文字が非常に小さく見づらいのも問題だと思うのですが・・。


 今、お使いのキッチンはどうすればいいでしょうか。以下に記載します。


浅型ゴミ収納カゴ タカラ浅型タイプ

深型ゴミ収納カゴ タカラ
深型タイプ
 
 塩素系洗剤に関しては、キッチンメーカー洗剤メーカーも使い方によってはサビが発生することを承知しているのは前述の通りなのですが、残念ながら、ユーザーの皆さんに周知されている訳ではなく、サビが発生して初めて気が付くという状況で、また、使う前に説明書きを十分見なかったり、守らなかったり、というのも理由のようです。

 では使わないのが一番なのでしょうか?

 当サイトはそうは考えません

 キッチンは家族の食生活を守る大変重要な場所ですし、同時に食と健康を脅かす『菌』や『ウイルス』などから守らないといけない場所でもあります。

 塩素系洗剤は身近で簡単に除菌が出来ますので、キッチンメーカー、洗剤メーカーの見解を承知の上で、正しく使えば、非常に有効な洗剤です。次のことを理解の上であれば使用は『よい』と考えます。
(但し、固形、錠剤タイプのヌメリ取りは現状の成分であるかぎり使用すべきではないと考えます)


キッチンメーカー、洗剤メーカーの塩素系洗剤の使用に関する見解を理解する。

ヌメリ取り(塩素系洗剤)を付けっ放しにしない(約5分)
使用説明書に書いてある時間を守りましょう。カップ麺を作る時やコンビニのお弁当を温める時に時間を計るのと同じです。

所定時間の後、水で流す(30秒以上)、シンク全体と天板の面も付着している可能性があるところは水洗いをする。(塩素を洗い流す)

もし、サビが発生したら早めにクリームクレンザー(ジフでOK)で磨く。
 または使用を止め他の方法で行って下さい。

以上を守って使いましょう。


*塩素系の洗剤をお使いになる場合は、ぜひ下記の塩素洗剤の注意事項を読んで下さいますようお願いいたします。
        人にも製品にも安全に優しく使いましょう


*注  
  上記内容は、信頼できる洗剤メーカー品を使用した場合が条件です。類似品や成分の表示内容を誤表記した洗剤(ヌメリとり)などは、ユーザーが注意をしながら使用してもダメな場合があります。その場合はその洗剤の使用を中止して下さい。

  合併槽などをご使用の場合は、塩素を流すと合併槽の浄化機能が低下して悪臭を発生させたりします。浄化槽の注意内容をご確認下さい。
食中毒の
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キッチン天板
のお手入れ
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◆ 簡単なヌメリ対策       アルミホイル(使い古しでOK)を使う
画像はクリックで拡大します
ヌメリとり説明用ゴミカゴ写真
左の写真は浅型のゴミカゴです。(フタを外した状態)  
ヌメリとり用アルミホイル
市販のアルミホイルを15cmほどにカットして3枚ほど用意します。使い古しでもOKですが、小さい場合は一緒に丸めます。

 アルミは金属イオンを発生し易く、殺菌効果があります。アルミを口に入れると治療した金属カバーの歯に触れると電気が発生して、ピリッとするのはそのせいです。
 
アルミホイルを入れたゴミカゴ 用意したアルミホイルを丸めます。大きさはブドウの粒位になります。

 ヌメリの原因菌に触れるように表面積が多いほどいいので、なるべく大きい方がベターです。形も工夫して下さい。小さい物を数を入れても効果は低くなります。

 球の表面積の計算は 4×3.14×半径の2乗 
  (シンパイアールの2ジョウ と覚えたと思いますが・・・)
 
アルミホイルを入れた写真

ゴミカゴに入れた状態です。
(フタをして完了です)

 残念ながらヌメリを完全に無くすことはできませんが、軽減することはできます。

 アルミにはバクテリアのヌメリがあまり付きませんが、食物や油分のヌルヌルは残ります。ゴミを捨てる時は、アルミを一度取り出して繰り返し使います

  季節にもよりますが、1ケ月程度で取り換えが必要です。(アルミの表面に付着した油分のために効果が無くなります) また悪臭の原因になってしまいます。


 深型のトラップの場合はゴミカゴの下にも入れておくとトラップ内のヌメリを軽減します。
 



◆ 排水管、トラップの洗浄  (塩素系洗剤を使わないで行うには)  

 ゴミ収納カゴの下の手の届かない部分、つまり排水パイプトラップ内部のヌメリ、油の付着物を取り除くには、『重曹』又は『過炭酸ナトリウム』(酸素系漂白剤)を使います。(粉末タイプのキッチンハイターは過炭酸ナトリウム配合です)

 *使い方
1、粉末状の重曹、又は過炭酸ナトリウムを、普通サイズのグラスコップに半分位入れます。
  (量は程度によって調整して下さい)製品に記載がある場合はそれに合わせて下さい。以下同様に。

2、ゴミ収納カゴを外して、中に入れます (クエン酸を加えると発泡が増えます)

3500ccのペットボトルに約40℃位のお湯を入れます。(先に用意した方がいいかも)

4、入れた重曹又は過炭酸ナトリウムの上から、ゆっくりお湯を注ぎながら500cc全部入れます。
  (入れすぎはいけませんが、溶け残る場合はお湯を足して下さい)

5、20分位そのままにします。この時間で内部でぶくぶく発泡しながら汚れを浮き立たせます。

6、お風呂で使う洗面器などに水を入れ、排水口に一気に流し入れます。
  (水止めフタがある場合は、それを使ってシンクに水を溜めてから流して下さい)

7、以上です

 *注意 他
 ・重曹・過炭酸ナトリウムはアルカリ性です、特に過炭酸ナトリウムはアルミ・銅・真鍮(しんちゅう)には使用できません。

 ・ゴミ収納カゴからの匂い(食品の残りなどから)が気になる場合は、重曹を振りかけておくと軽減できます。(但し、小まめに掃除するのが基本です。お忘れなく !!)

 ・重曹・過炭酸ナトリウムは環境負荷に優れ、自然に帰りますので排水に流しても問題はありません。
*重曹
 
 
*過炭酸ナトリウム




参考にして下さい。  
◆ 塩素系洗剤(ヌメリ取り洗剤 他)の注意事項
◆ 『混ぜない』・『移し替えない』洗剤の大原則  
 『洗剤』と言えば優しく聞こえますが、中身は薬品ですのでユーザーにとっては『薬品』を扱うという意識と知識が必要です。使い方を間違えますと非常に危険であり、家族や他人までも巻き込んでしまいます。その大原則の1つが『混ぜない』・『移し替えない』です。このページはステンレスについてのページですが、洗剤への意識を変えて頂くためスペースを取りました。

 『混ぜない』
 洗剤の容器などに『混ぜるな危険』と記載されている製品がありますが、その多くが<塩素系>の洗剤です。この塩素系の洗剤に酸性洗剤や・アルコールと混ざると「塩素ガス」が発生します。有害ガスです(人にも、金属にも)。塩素ガスを吸うと塩素ガス中毒になります (金属は腐食します)
 塩素ガスは、塩素系漂白剤(まぜるな危険と書いてあるもの)と酸性の洗浄剤を混ぜたときに、大量に発生します。
 解っていてもうっかり危険な状況にある場合があります。それは、錠剤、吊り下げタイプのヌメリ防止剤を使用している場合です。吊り下げタイプは『酸性・弱酸性』ですので、トラップやゴミカゴに入れたままキッチンのシンク内や浴室の洗い場で塩素系の(漂白剤・カビとり剤)を使用することは、まさに
『まぜるな危険』を行っていることになります。知っているはずなのにやってしまい勝ちなのです。

 中毒を起こす場所は、換気の悪いトイレや浴室が多いので、重篤になることがあります。塩素ガスを吸い込んだときに、呼吸器症状をはじめとして中枢神経症状など、多彩な症状を起こします。3.5ppmでは臭気を感じ、15ppmでは目・呼吸器の刺激作用、咳、窒息感がおこり、50ppmでは1時間以内の暴露で胸部の疼痛、喀血、肺水腫をおこします。100ppmでは瞬間的に呼吸困難になり、脈拍減少、チアノーゼ、咽頭痙攣がおこり、ショックとなります。1000ppm以上では即死になります。気道浮腫と肺水腫による低酸素血症を緊急に治療する必要があります。

 治療は、血液ガス、胸部X線撮影の検査をして、酸素投与、気管内挿管、機械呼吸を行い、呼吸管理中心に対症療法を行います。肺水腫に対して、呼気終末陽圧呼吸(PEEP)を行い、肺の中の圧を高くして、肺にたまった水を追い出します。消炎目的にステロイド剤であるソル・メドロールの点滴静注を行います。

 『移し替えない』
 洗剤はそれぞれ成分や使用目的などに合わせ最適な容器に入れて出荷され販売しています。軽い気持ちで移し替えたりすると思いもかけないことが起こります。
 その一例を上げますと東京メトロ内での異臭騒ぎがあります。過去にサリンによる事件が起こりましたので、笑えない事件になってしまいました。発端は飲食店に勤めていた女性が職場から漂白剤を分けてもらってことから起こりました。職場のプロ用や業務用といった大き目の容器に入っているものから分けたと思われますが、移し替えた容器がアルミ缶(キャップ付き)だったようです。この時点ですでに問題が発生しています。漂白剤は主に『アルカリ性』です、プロ用はph値も高めだと思いますが、アルカリはアルミを溶かします、またアルミを分解する際に水素ガスを発生させますので容器内の圧力が高くなり場合によっては破裂して噴き出します。メトロのように密室状態ではかなりの刺激臭があり、目などに入ったら大変です(傷害事件になってしまう)。数名の方が病院に運ばれたりしたようですが、事件性は無いと判断されたようです。この人がアルカリ洗剤の知識があったとしても、洗剤は見た目では成分が分かりません。だから容器を移し替えてはいけないのです。

 また、ハンドスプレーは大変便利ですが、やはり洗剤に合わせたものになっていますので違うものを入れると思わぬ出方になり、衣類を変色させたり、身体についたり、目に入ったりする場合があります。

上に向けた噴霧は厳禁です
(浴室の天井は専用ワイパーを使いましょう)。

アルミの対アルカリ洗剤 東京消防庁
東京消防庁の実験画像

実験動画はここをクリックして
実験データーサイトのボタンを
クリックして下さい。アルミが
溶ける状態が良く分かります

2分35秒の動画です




 


 追記:
 もし目に入ったら....

 もし目に入ったら、流水で10分以上流した後で、医師の診断を受けて下さい(洗剤を持参)。そのまま放っておくと目の角膜が曇る場合があります(ひどい場合は失明)。

 もし子供が誤飲したら....

 
もし、子供さんが間違って口に入れたり、飲んだり食べたりしたら、取り急ぎ口をすすいだあと『牛乳』をコップ1~2杯を飲ませます。牛乳は塩素を中和させます。その後受診して下さい。
               
                詳しくはKaoのサイトで




 塩素系洗剤が手に付いた時、水でしばらく流しても、ヌルヌルしているのは皮膚が溶けた為です(化学火傷)幸い皮膚は時間が経てばこの程度は再生します。しかし、目の角膜は再生されません。洗剤の注意事項に表記してあることは大げさでは無く、最低限度の対応です。また子供さんの手の届くところに置いておくのはもっての外です。

 繰り返しますが洗剤という意識は捨てましょう『薬品』と考えれば自ずと扱いが変わります。
 
 
浴室天井用カビとりワイパー

文末にて
 このページを最後まで見て頂きありがとうございました。ユーザー様からのお問い合わせの中で、ステンレス関連の内容は、BEST 3に入ります。発端はキッチンが錆びたことからですが、このことは洗剤の使い方への警鐘としてとらえて頂き、この機会に、正しいお手入れの仕方、洗剤の正しい使い方をマスターして頂ければと思います、洗剤を購入される時に裏面の表示を確認する習慣が出来れば、水廻り製品とのトラブルも必然的に減少すると思います。

このページへのお問い合わせ、ご意見は下記フォームからお願いします。
info@takara-feast.main.jp