水廻りにある食中毒の原因(毒・菌・ウイルス・病原虫)についてまとめてみました。 また、近年国内で注意しなければいけないウイルス等も追記しました。 |
ウイルス・細菌 | 画像 | 原因 | 症状と対策 |
ノロウイルス |
ウイルスに汚染した食品や飲み水、ドアノブ、感染者の吐しゃ物の乾燥した状態からの経口感染する。 特に冬場が多い |
主な症状は嘔吐、下痢、発熱を起こし個人差により激しさは異なる。高齢者、乳児は注意が必要。比較的軽度の場合は風邪と似た症状がでる。2日程度で回復して後遺症もない。 抗ウイルス剤はなくワクチンもない、一度かかっても免疫は2年程度しかない。 予防は手洗いや消毒を行い、かかったら水分を十分にとるようにする。吐しゃした物の扱いには注意する。下痢止めの使用は医師の指示に従う。(排泄した方が良い場合が多い) 80℃以上で90秒の加熱で感染力はなくなる。 *厚労省の資料 *予防のポイント |
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カンピロバクター菌 | 汚染した肉(特に鶏肉)、加熱不十分の食品、サラダ、飲料水など。 |
発熱(38℃)、下痢、腹痛、嘔吐を伴う。わずかな細菌でも感染発症する。潜伏期間は2~7日。重篤な症状になることは少なく自然治癒する。 通常60℃以上の加熱1分で不活性化する。生肉、生レバーは摂らないようにする。 |
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サルモレラ菌 |
サルモネラ食中毒は、本菌が腸管上皮細胞に感染した結果生じる、腸管内への液体貯留と好中球浸潤による炎症によって起きると考えられている。典型的な感染型食中毒である。 経口感染 |
腹痛、嘔吐、下痢(血便)、発熱を起こす。潜伏期間は短く12時間程度。 熱や酸に弱く、生食を避け、熱湯や除菌洗剤で予防ができる。冷凍や乾燥には強いので長期保存には注意がいる。 |
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黄色ブドウ球菌 | 食品中で増殖して黄色ブドウ球菌エンテロトキシン毒素を産生。 | 加熱しても黄色ブドウ球菌は死滅するが生産された毒素は残るため発症する。 食べてから約2時間で発症し激しい嘔吐が特徴。特にひどい場合は毒素性ショック症候があり多臓器不全などの症状も発症する場合があり必ず医師の治療を受ける必要がある。 |
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ポツリヌス菌 | ボツリヌス毒素を含んだ食物を食べることで起こる。ハム、ソウセージ、などが多い |
ボツリヌス毒素は主に四肢の麻痺を引き起こす。重篤な場合は呼吸筋を麻痺させ死に至る。ボツリヌス菌は芽胞となって高温に耐えることができるが、ボツリヌス毒素自体は加熱することで無害化する。A、B型菌を不活化させるには100℃で6時間、芽胞で120℃で4分間の加熱が必要であるが、ボツリヌス毒素自体は100℃で1-2分の加熱で失活される。 このため、ボツリヌス菌による食中毒を防ぐには、食べる直前に食品を加熱することが効果的である。 |
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腸炎ビブリオ菌 | 主に海水中に生息する細菌であり、本菌で汚染された魚介類を生食することで、ヒトに感染して腸炎ビブリオ食中毒を発症させる。6月~9月が多い。 |
腸炎ビブリオ食中毒は、日本で発生する食中毒の原因菌としては、発生件数でサルモネラと並んで1-2位。増殖は2~3時間で発症レベルに達する。また好塩菌であり漬物にも二次感染しやすい。6~12時間で発症し激しい腹痛と下痢、発熱、嘔吐がある。腹痛は小腸で起こるため上腹部が痛くなる。2~3日で回復する。 加熱すれば菌は死滅する。刺身などは夏場に多いので常温で置かないで真水で良く洗うことが予防になる |
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コレラ菌 | コレラエンテロトキシン産生性のコレラ菌は患者の便やおう吐物に排出され、また、排泄物で汚染された飲料水や食品を介して口から体の中に入ります(経口感染)。 |
潜伏時間は数時間から~5日(通常の潜伏期間は1日から3日程度)で、突然下痢を起こして発病し、下痢に続いておう吐を起こします。発熱、腹痛はない場合が多いのですが、手術で胃を切除した人や基礎疾患のある人では重症になることがあるので注意が必要です。 |
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MERS(マーズ)コロナウイルス |
中東呼吸器症候群
SARSコロナウイルスに似たコロナウイルス、死亡率50%、中東の旅行には注意。空気感染の症例はない。人から人への感染は密接な接触の場合に起こる。 |
感染方法、治療法が全く分かっていない。現地のヤマコウモリ、ラクダからの感染が推測されているが・・。 日本国内での感染は考えられない。潜伏期間は2日~14日。症状は咳と疲労感があり、急激に症状が悪化し肺炎になる。予防は手洗いの励行、除菌アルコール、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)などが効果がある。 | |
SARS(サーズ)コロナウイルス |
重症急性呼吸器症候群のコロナウイルス。中国広東省で発見された新型肺炎。飛沫感染で広がる。死亡率10%。 |
日本政府は、2003年にSARSを新感染症として取り扱うことを発表。さらに、4月17日、原因が判明したため、SARSを指定感染症へ切り換える方針を発表した(現在は二類感染症)。おもな症状は、38度以上の発熱、せき、呼吸困難など。キクガシラコウモリが保菌している。抗生物質は効果が無く特定の治療法は無い。予防は石鹸での手洗いの励行で防げる。 | |
デング熱 | 熱帯病の1つでデングウイルスが発生源。媒介生物はヤブカ属の中でも特にネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊によって媒介される。 | 症状には、発熱・頭痛・筋肉痛・関節痛、はしかの症状に似た特徴的な皮膚発疹を起こす。軽度または中等度であれば、経口もしくは点滴による水分補給、より重度の場合は、点滴静脈注射や輸血といった治療が用いられる。稀にデングショック症候群に発展して出血性ショックを引き起こすこともある。予防法は、ウイルスを媒介する蚊に刺されないようにして身を守ることである | |
レジオネラ菌 | ヒトの生活する環境においても、大量の水を溜めて利用する場所でレジオネラが繁殖する場合が知られている。空調設備に用いる循環水や入浴施設においてよく見られ、しばしばこれらの水を利用する際に発生する微小な水滴(エアロゾル)を介してヒトに感染する。 | 症状は肺炎の症状に近く、2 - 10日の潜伏期間を経て高熱、咳、頭痛、筋肉痛、悪感等の症状が起こる。進行すると呼吸困難を発し胸の痛み、下痢、意識障害等を併発する。死亡率は15% - 30%と高い。特に抵抗力の落ちた高齢者は注意が必要。特に日本では入浴設備からの感染事例が多い。また超音波式加湿器を使用してレジオネラ症で死亡し例がある。予防は浴槽の水はよく入れ替えをして、定期的な塩素消毒が効果がある。吐水口やシャワーヘッドも行う。 |
食中毒について動画で分かりやすく解説しています。(約10分) |
つけない!増やさない!やっつける!家族と自分を食中毒から守る予防法(政府インターネットTV) |
ウイルス・病原菌以外での食中毒 |
カビ毒 | 画像 | 原因 | 症状と対策 |
カビ |
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カビ毒はマイコトキシンと呼ばれるカビの二次代謝産物で約300種以上発見されている。その中でもアフラトキシンは肝がんの原因の一つと言われている。 カビた穀物を家畜に与えることもしてはいけない。 |
日本国内でカビ毒を発生させるカビは比較的少ない状況ですが、食すると病気やアレルギー疾患の原因になったり、ガンや中毒の原因になったりもします。急激な発症は少なく慢性的な肝臓障害、発がん性(アフラトキシン)などの原因となります。 カビ毒は熱に強く、200℃以上で1時間程度熱しても取り除くことはできません。特に輸入品の穀物(トウモロコシ、小麦)、ナッツ類のカビは食べないようにしましょう。 カビは毒性がなくてもアレルゲンとして喘息、気管支炎、鼻炎などを引き起こす原因になります。よくある黒カビ、すすカビがそれにあたります。 |
病原虫 | 画像 | 原因 | 症状と対策 |
クリプトスポリジウム | 河川・湖沼などに生息し生水を飲んだ時に経口感染する。腸が障害を受ける寄生虫病。 |
感染後2-10日で認められ2週間程度続く。水様性下痢のほか、胃痛、発熱を起こす。重篤な場合は致死に至る。特に水道水に混入した場合は集団感染になり先進国でも発症している。 水道水の殺菌用塩素も効果は無く、浄水器が効果がある。また1分程度の沸騰で死滅する。 |
自然毒(厚生労働省) | 東京都食品衛生HP | 参考サイト |
有害物質 | 浸入箇所 | 原因 | 症状 他 |
残留農薬 | 水道水 | 有害昆虫の防除や病気の原因のカビ・細菌の防除に使用した農薬が河川・地下水に溶け込む | 水道水には農薬(除草剤・殺虫剤を含む)が含まれており、水質検査の対象にもなっています。 参考:厚生労働省HP |
亜硝酸性窒素 硝酸性窒素 |
水道水 | 農薬に含まれる窒素成分が土中の微生物によって分解され生じる物質 | 亜硝酸性窒素・硝酸性窒素は農薬や除草剤、肥料、腐敗した動植物などの窒素成分が微生物に分解され生じる物質で井戸水や水道水にも混入しています。発がん性物質であるニトロソアミンという物質をつくりだすばかりか、血液中のヘモグロビンとも反応して、メトヘモグロビンを生じます(メトヘモグロビン血症:貧血、神経障害、頭痛、意識障害) |
鉛 | 水道水 | 今は使用禁止になっている鉛管を水道管に使用したため水道水に溶け出た。古い住宅ではまだ使用中の住宅もある。 | 鉛は水に溶けやすく、一度体内に入ると、排出さ れにくい物質です。消化器管から吸収された鉛の 約85%は赤血球に沈着し、やがて骨に沈着しま す。血鉛が体内に蓄積されると、脳炎や痴呆、腎 臓障害を起こしやすくなり、不眠や疲労感、頭痛 、消化器官の障害も引き起こします。 |
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